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CHEERFUL TRAININGで切り返し能力をUP!-エクササイズプログラムの指導実践-

SDGs  


活動対象・地域 兵庫県丹波市(市内の中学生)


主な連携先(協力団体)等 丹波市


連携時期 2021年3月~継続中


連携活動の目的   

・球技などのスポーツ活動に必要な切り返し能力を向上し、中学生の運動能力を高める。
・中学生を対象にエクササイズを指導することにより、本学学生の実践的な学びの機会を得る。


活動概要   

<背景>
安田ゼミではスポーツ外傷・障害の予防や運動パフォーマンス向上のための方策について、科学的に探究する活動を行っている。また、これまでの科学研究や本研究室で得られた知見を基に、スポーツ選手に必要なトレーニングやコンディショニング方法を立案し、実践的な研究も実施している。ゼミナール活動では学年や学科、コースの垣根を越えて、多角的な視点で議論ができるように工夫し、研究活動を行ってきた。現在までの活動で得た知見から、今年度は「切り返し能力」を向上させるエクササイズを立案し、その効果を検証しながら、指導方法についても追求した。ゼミナールを通じて、学生は運動の継続性に着目し、エクササイズを継続して実践してもらうためには「効果的」で「楽しい=cheerful」ことが必要であると導き出した。そして、丹波市の中学校の先生方から生徒の体力・運動能力向上のためのトレーニングを実施してほしいとのご依頼があり、CHEERFUL TRAINING (以下、CTR)プログラムを立案し、中学生に指導実践する機会をいただき、連携することとなった。

 

<概要>
1.対象学年
中学1年生21名、中学2年生24名(合計45名)

 

2.内容
以下の内容を①から順に実践した。
① CTRの概要とサイドホップテスト(※)の実施方法について説明
(※) 30cm間隔に引いた線を片脚で横方向に移動し、線を踏むまたは飛び越える試技を行う。
これを出来るだけ速く10回繰り返し、それに要した秒数を測定する。
② グループに分かれサイドホップテストを実施(左右脚それぞれ2回ずつ測定し、優れたほうを記録として採用)
③ 本学学生によるCTRの指導実践
④ CTR実施直後のサイドホップテストを再度測定
⑤ 測定結果とアンケート用紙を用いて、生徒による自己評価を実施

 

3.サイドホップテストの結果(数値は平均値 ± 標準偏差を示す)
【1年生】右脚:CTR前 9.0 ± 2.8 秒 → CTR後 7.4±1.3 秒 左脚:CTR前 9.1 ± 2.6 秒 → CTR後 7.7±1.4 秒
【2年生】右脚:CTR前 8.2 ± 1.5 秒 → CTR後 7.0±1.1 秒 左脚:CTR前 8.5 ± 1.2 秒 → CTR後 7.2±1.0 秒
【 全体 】右脚:CTR前 8.6 ± 2.2 秒 → CTR後 7.2±1.2 秒 左脚:CTR前 8.8 ± 2.0 秒 → CTR後 7.4±1.2 秒
いずれの結果もCTR実施前と比べて、 実施後のほうで記録が向上した。

 

4.生徒の自己評価結果(1・2年生全体の結果)
CTR実施後には、生徒の自己評価を回答いただいた。回答結果は、以下の通りである。
・「体を動かすことがとてもできた」と回答した生徒は86.7%、「ややできた」と回答した生徒は13.3%であった。
・「トレーニングがとても楽しかった」と回答した生徒は88.9%、
「やや楽しかった」と回答した生徒は8.9%であった。
・「トレーニングを継続したいか?」という質問に対して、「とてもあてはまる」と回答した生徒は31.1%、
「やや当てはまる」と回答した生徒は53.3%、「どちらともいえない」と回答した生徒は13.3%、
「あまりあてはまらない」と回答した生徒は2.2%であった。
・「トレーニング前後でサイドホップテストがとても動きやすくなった」と回答した生徒は55.6%、
「やや動きやすくなった」と回答した生徒は42.2%、「どちらともいえない」と回答した生徒は2.2%であった。

 

5.生徒の感想(一部を掲載)
生徒の自己評価と共に、感想もいただいた。感想の一部は、以下の通りである。
・運動はあまり得意じゃないけど楽しかったです!
・今までいっぱい動くトレーニングをして、楽しいより、疲れた方が勝っていたけど、今日のトレーニングは体も動かせたし、めっちゃ楽しかったです!
・教えてくれる人も優しくとても楽しかったです。また来てください。
・サイドホップテストする前のトレーニングをしたら速くなったので良かったです。トレーニングも楽しく、上手くできたのでよかったです。ありがとうございました。

 

6.総括
当日は多くの生徒が楽しんでCTRを実施しており、その効果を実感いただけた。また、測定・評価を併せて行ったことにより、エクササイズの即時効果を体感してもらい、興味を持っていただくことができた。生徒の感想は肯定的な内容が多く、エクササイズを継続したいと希望する意見が多く寄せられた。現場の先生方からも好評であり、当日実践できなかった他のクラスやクラブ活動でもCTRを実践し、継続的にエクササイズを続けていきたいとのご感想をいただくことができた。本学学生においても初めての経験となり、対象者に合わせて臨機応変に指導することの難しさを体感した様子であった。指導実践時には学生自身も「cheerful」な表情を見せ、 CTRは指導者も対象者も相互に楽しめるプログラムであることを感じ取れた。本実践に至るまでの一連のゼミナール活動を通じて、学生は目標を達成するために必要なプロセスを経験し、今後の活動に活かしたいと話していた。また、自ら課題を設定し、他者と共同して解決する能力も身に付けられたと感じており、学びの多い、有意義な1年間であったと述べていた。


写真等   

 

 

 

 

 

 


活動の成果   

・短時間のエクササイズで側方への切り返し能力に対して即時的に効果があることを中学生や先生方に体感いただけた。
・CTRは学生自ら考案し、その効果を検証、試行錯誤の上、プログラムが完成した。これらの取り組みを通じて、エクササイズを指導するためには、ある一定の根拠が必要であることを認識し、学生の学びに結びついた。
・指導実践に至るまでの取り組みは計画的に遂行され、その都度成果を分析、修正の末、実行された。
これらのプロセスを学部や学科、コースの垣根を越えて、互いに協力し合い、取り組むことにより、社会人基礎力が身についた。


今後の活動・目標  

本取り組みの結果、以下の点が今後の課題となった。
・今回提示したエクササイズの継続性や他の年代に対する適応を調査する。
・信頼性の高い指標や科学的な他の手法を用いて、各エクササイズ種目の効果をより詳細に検証する。
・切り替えし能力を除いた他の運動能力に対する効果を検証する。 


教員業績  健康・スポーツ科学科 安田 良子

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武庫川女子大学 教育研究社会連携推進室

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