アニメのポーズで姿勢改善!!-体幹エクササイズプログラムの指導実践-
SDGs
活動対象・地域 兵庫県丹波市
主な連携先(協力団体)等 丹波市
連携時期 2021年3月~2022年3月
連携活動の目的
・中学生の姿勢を保持する筋の機能や柔軟性を向上する。
・中学生を対象に体幹エクササイズを指導することにより、本学学生の実践的な学びの機会を得る。
活動概要
<背景>
短大安田ゼミではスポーツ選手に必要なトレーニングやコンディショニング方法に関して、実践的な研究活動を行っている。また、大学安田ゼミではスポーツ外傷・障害の予防や再発予防のための方策について、科学的に探究する活動を実施している。安田ゼミでは学年や学科の垣根を越えて、互いに切磋琢磨し合い、研究活動を行ってきた。これまでの研究活動で得た知見から、今年度は「立位姿勢」を改善するエクササイズに着目し、学内の学生やスポーツ選手に体幹エクササイズを教示し、その効果を検証してきた。
教育現場では、生徒の体力・運動能力の低下が問題視されている。ゼミナール活動での経験を通じて、学生は教育現場の先生方や生徒に、正しい姿勢を保持する重要性や姿勢が体力・運動能力に与える影響、エクササイズで不良姿勢が改善することを伝える必要があると考えた。さらに、対象となった中学校の先生方から「生徒に不良姿勢が多く、体幹部を強化したい」とのご依頼があり、本取り組みに至り、連携することとなった。
<概要>
1.対象学年
中学1年生47名、中学2年生42名、中学3年生37名(合計126名)
2.内容
以下の内容を①から順に実践した。
① 立位姿勢の評価方法と姿勢が体力・運動能力やスポーツ外傷・障害に与える影響について説明
② 生徒同士で側方からの立位姿勢を撮影
③ 本学学生による体幹エクササイズの指導実践
④ 体幹エクササイズ実施直後の立位姿勢を再度撮影
⑤ 撮影した写真とアンケート用紙を用いて、生徒による自己評価を実施
3.生徒の自己評価結果(1年生~3年生全体の結果)
体幹エクササイズ実施後には、生徒の自己評価を回答いただいた。回答結果は、以下の通りである。
・「体を動かすことができた」と回答した生徒は93%、「少しできた」と回答した生徒は6%、
「まだ難しい」と回答した生徒は1%であった。
・「動かしている体の部位を意識しながらできた」と回答した生徒は67%、「少しできた」と回答した生徒は31%、
「まだ難しい」と回答した生徒は2%であった。
・「楽しめた」と回答した生徒は78%、「少し楽しめた」と回答した生徒は21%、
「楽しめなかった」と回答した生徒は1%であった。
・「姿勢を改善することができた」と回答した生徒は66%、「少しできた」と回答した生徒は30%、
「まだ難しい」と回答した生徒は2%、未回答2%であった。
4.生徒の感想(一部を掲載)
生徒の自己評価と共に、感想もいただいた。感想の一部は、以下の通りである。
・エクササイズをする前では姿勢が前のめりになっていたが、エクササイズを終えると姿勢がしっかり
改善されていて、良かった。とても楽しかったので、これからも継続して続けたいと思った。
・今日のエクササイズで背中が曲がっていたのが、背筋がしっかりとのびていて良かった。
今後も面接中なども姿勢から見られると思うので、普段から意識して生活していこうと思いました。
・アニメの動きを取り入れててよかった!!楽しかった♡ 太ももが痛くなった(>_<)背筋が伸びた感じ!!
最初の方にした動きが猫背に効いた( ^o^ )猫背が少しなくなった気がする!!
・アニメのポーズを元に真似しながらエクササイズすることはキツいこともあったけどすごく楽しめたし、
実際にエクササイズをして自分も姿勢が少し伸びたと実感できて姿勢を改善することができました。
また、自主的に家でも姿勢を改善できるようなエクササイズをしたいと思った。
5.総括
当日は多くの生徒が楽しんで体幹エクササイズを実施しており、その効果を実感いただけた。また、姿勢評価を併せて実施したことにより、自身の姿勢に興味を持ち、身体を調整する重要性を体感していただくことができた。生徒の感想は肯定的な内容が多く、エクササイズを継続したいと希望する意見が多く寄せられた。現場の先生方からも好評であり、引き続き生徒が姿勢に興味を持つような授業を展開したいとのご感想をいただくことができた。
本学学生においても指導回数を重ねるたびに、教示した内容が生徒に伝わり、非常に有意義な機会となった。授業の最後にはご参加いただいた生徒だけではなく、本学学生においても満足した様子であった。また、学生は一連のゼミナール活動を通じて、目標を達成するために必要なプロセスを経験し、これを社会へ出て活かしたいと話しており、自信に満ち溢れた様子であった。
写真等
活動の成果
・中学生や先生方に姿勢の重要性を認識し、体幹エクササイズで姿勢が改善できることを体感いただけた。
・アニメのポーズを用いることで中学生に理解しやすい内容となり、教示方法を工夫する必要性を実感できた。
・本取り組みの体幹エクササイズは学生自ら考案し、その効果を検証、試行錯誤の上、プログラム作成に至った。
これらの取り組みを通じて、エクササイズを指導するためには、ある一定の根拠が必要であることを認識し、学生の学びに結びついた。
・1年間の取り組みは計画的に遂行され、その都度成果を分析、修正の末、指導実践に至った。これらの行動を学部、学科の垣根を越えて、互いに協力し合い、取り組むことにより、社会人基礎力が身についた。
今後の課題・目標
<今後の課題>
本取り組みの結果、以下の点が今後の課題となった。
・今回提示したエクササイズの継続性を調査する。
・同じゼミ生がエクササイズの考案や指導に携わることができる期間には限りがあるため、本取り組みを継続するための方策を検討する。
・信頼性の高い指標や科学的な手法を用いて、各エクササイズ種目の効果をより詳細に検証する。
・指導内容や教示方法がエクササイズの効果に与える影響を精査する。
教員業績
健康・スポーツ科学科 安田良子